七夕と猫──星に願いを、君にも。
今日は七夕。
織姫と彦星が一年に一度だけ会えるという、ロマンチックな夜。
短冊に願いを書いたり、笹に飾りを吊るしたり。
子どもの頃は、ただの行事だった七夕も、
大人になって少し違う意味を持ち始めた。
私の部屋では、今日も変わらず猫が眠っている。
名前はタイガ。何度もこの夜を一緒に越えてきた。
星空なんて気にしない顔で、
カーテンの隙間からの風に耳をぴくぴくさせながら、
ただ丸くなって、静かな夜を過ごしている。
「ねえ、タイガ。君にも会いたい誰かって、いるの?」
問いかけても、返事なんてあるわけがない。
でもそのまなざしは、
いつもより少し遠くを見ていた気がした。
人は誰かと出会い、すれ違い、離れて、
また思い出して、星に願いをかけたりする。
猫はそうじゃない。ただ、そばにいる。
今日も、昨日も、明日も。
願うのではなく、今を生きてる。
それでも私は、タイガのことを想いながら、そっと短冊に書く。
「来年も、また一緒に七夕を迎えられますように。」
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