梅雨の季節に読みたい本 5選
― 雨の日こそ、静かに本をひらいて ―
雨が続く季節は、どこか心も湿っぽくなる。
洗濯物は乾かないし、外に出るのも面倒。
だけど、ふと立ち止まってみると、雨音って、意外と心地いいBGMになることに気づく。
静かな午後、窓を打つ雨の音を聞きながら、一冊の本をひらく。
そんな時間こそが、梅雨の密かなご褒美かもしれない。
① 『雨ニモマケズ』宮沢賢治(詩)
岩手の雨に打たれながら綴られた、心の祈り。
読み返すたびに、生き方に向き合いたくなる。
② 『ツバキ文具店』小川糸(小説)
鎌倉のしっとりした街並みと、代書屋の静かな日常。
手紙を書くことで人とつながる、そのやさしい時間。
③ 『夜と霧』ヴィクトール・フランクル(哲学・実話)
「意味を見失う」季節に読みたい、生きる意味を問う1冊。
憂鬱を抱える日々に、静かな強さを与えてくれる。
④ 『冷静と情熱のあいだ』江國香織/辻仁成(恋愛小説)
しとしと降る雨と、心の中の“間(ま)”。
男と女、それぞれの10年越しの想いが胸に沁みる。
⑤ 『猫を棄てる』村上春樹(エッセイ)
父と過ごした過去を語る静かな回想録。
雨の日にこそ、思い出という名の窓をそっと開けたくなる。
雨に閉ざされた時間は、じつは自分自身と向き合うチャンスなのかもしれない。
静けさを味方に、本の世界に旅してみませんか。
おまけ:『猫を棄てる』を読んでみて
雨の日の午後に、ふと思い立ってこの本をひらいてみた。
村上春樹の文章って、不思議。
難しいことは書いてないのに、なぜかじんわり心に残る。
淡々としてるのに、どこかあたたかい。静かな水面に、小石をそっと落としたような余韻がある。
書かれているのは、父との記憶と、猫との短い時間のこと。
それだけなのに、ページをめくる手が止まらなくて。
読んでるうちに、いつの間にか自分の家族のことを思い出していた。
自分にとって村上春樹の本って、読みやすくて、気づいたら続きを読んでしまう。
「どこがいいの?」って聞かれると上手く答えられないんだけど、なんだか好きなんだよね。
本を閉じたあと、しとしと降る雨の音が、やさしく聞こえた気がした。
忘れてた気持ちを、そっと思い出させてくれるような、そんな読書時間だった。
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