短編小説 短編小説1 古びた日本家屋に、一人の老女が暮らしていました。名は百合子。夫を亡くしてからというもの、話し相手は庭の草木と、時折やってくる町内会の人くらいになりました。百合子は、時おり机に向かって手紙を書きます。宛先は決まって、「あなたへ」。——そう、亡くなった夫・幸一宛てのものです。 2025.06.19 短編小説