朝起きて、スマホを開く。昼休みにテレビのニュースが流れ、夜はSNSのタイムラインに「最新情報」が埋め尽くされる。
気づけば私たちは、1日中ニュースに囲まれて生きている。
政治、災害、事件、芸能、経済、スポーツ──
どんな話題も、秒速で世界を駆け巡り、私たちの目の前に現れる。
「情報が多すぎる」と思いながらも、つい見てしまう。見なければ「置いていかれる」気がするからだ。
でもその習慣、あなたの心に静かにダメージを与えているかもしれない──。
ニュースが及ぼす悪影響とは?
■ 悪いニュースばかり目に入る
ニュースには、殺人、災害、政治の混乱、不祥事……といった「ネガティブな出来事」が圧倒的に多く取り上げられます。
これは人間が本能的に“危険な情報”に反応しやすいため、報道側も注目を集めようと悪いニュースを優先して流すからです。
しかし、毎日そのような情報ばかり浴び続けると、人は知らず知らずのうちにこう感じはじめます。
- 「世の中は悪いことばかりだ」
- 「人間って本当に醜い」
- 「将来に希望なんて持てない」
これが、思考の偏りや、ストレス・不安感・無力感といった「心の不調」につながるのです。
■ SNS拡散で“より過激に”
現代では、ニュースの多くがSNSによって拡散されます。
そしてそこでは、より刺激的な言葉、煽るような見出し、怒りを呼ぶコメントが付けられがちです。
たとえば──
- 「最悪すぎる…」
- 「本当にこんな国で大丈夫?」
- 「〇〇はもう終わってる」
こうした感情的な言葉に触れるたび、知らぬ間に私たち自身も“怒りモード”や“不安モード”に引き込まれていきます。
しかも、それが1日1件ではありません。数十件、多い人では数百件のニュースとコメントを毎日浴びているのです。
■ 良いニュースは報道されにくい
私たちは日々、ニュースという名の「情報の洪水」にさらされています。
しかし、その多くは「悪い出来事」に偏っています。
たとえば、財布を拾って交番に届けた人が感謝された。
そんな優しさにあふれたエピソードは、まずニュースにはなりません。
一方で、詐欺や暴力、事件、スキャンダルなどは即座に大きく取り上げられます。
この偏った報道を日々見続けると、次第にこう思ってしまうようになります。
- 世の中は悪いことばかりだ
- 誰かがいつも間違っていて、自分は正しい
- 誰かを叩かなければ気が済まない
気づかぬうちに、世の中への不信感が募り、他人に対する攻撃的な気持ちが湧いてきます。
そして最終的には「人間ってこんなものか」と思い込み、人間不信や自己否定にすらつながってしまうのです。
怒りや不安に心が支配されると、日常がどんどんギスギスしていきます。
ニュースを見ただけで心が乱れる──そんな経験は、誰にでもあるはずです。
■ ニュースとの距離のとり方
情報に触れすぎて疲れてしまう前に、大切なのは「距離のとり方」です。
ニュースは完全に断つ必要はありません。けれど、付き合い方にはコツがあります。
・見る回数や時間を制限する
朝・夜の1日2回だけ、あるいは通勤中の10分だけ──そんなふうに「見るタイミング」を決めるだけで、情報に振り回されにくくなります。
・信頼できる媒体だけを選ぶ
SNSで流れてくるニュースの中には、誤解を招いたり意図的に感情を煽ったりするものもあります。信頼できる新聞社や公共放送など、情報の質を見極める意識が必要です。
・知らなくていい情報もある
芸能人の不倫、SNSで誰かが炎上している、過激な見出しだけのニュース──
こうしたものを知っても、あなたの人生は特に変わりません。
むしろ心がざわつき、時間だけが奪われてしまうことも多いのです。
■ おわりに──「本当に知りたいこと」と向き合う
情報があふれる今だからこそ、「自分が本当に知りたいことは何か?」を考えることが大切です。
有名人の不倫報道など、確かに気になる話題かもしれません。エンタメとして楽しんでいる人にとっては、それも一つの娯楽。しかし中には、自分のことのように怒り、「悪いことをした人には罰を与えるべきだ」と強く思ってしまう人もいます。そうなると、それはもはや毒でしかありません。
不倫した芸能人がバッシングを受け、仕事を失う──そんなニュースを見て、一瞬「スカッと」することはあるかもしれません。でも、それは本当に一瞬だけ。冷静に考えれば、自分の大切な時間を浪費してまで感情を揺らす価値があるのか、疑問に思えてきます。
怒ったり、誰かを罰したりしても前向きな気持ちにはなれません。むしろモヤモヤが残り、次の“標的”を探してはまた怒る──そんなサイクルに陥ってしまうと、心は疲弊するばかりです。
だからこそ、意識的に「楽しい」「嬉しい」「優しい」気持ちになれる情報を集め、心が軽くなる方向へ時間を使うこと。それが、これからの情報社会を生き抜く上でとても大切なことだと思います。
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